職場の換気は、窓を開けることではありません。窓が少ない、あるいは開かないオフィスや店舗では、建物にもともと入っている機械換気が働いているかを先に確かめます。設備が動いていないまま扇風機を回しても、同じ空気をかき混ぜているだけになります。
先に結論:最初にやるのは買い物ではなく、建物管理者への確認です。給気口と排気口がどこにあり、機械換気が動いているかを聞いてください。そのうえで、ふさがっている吸排気口を空け、空気の入口と出口を決め、足りない分を機器で補います。この順序を逆にすると費用だけがかかります。
※本記事には広告・アフィリエイトリンクが含まれます。広告報酬の有無を理由に、不要な商品を必須とは表現しません。仕様、設置条件、電源は購入前に販売店とメーカー情報で再確認してください。
換気で確認する5つのこと
| 順 | 確認すること | 誰に聞く・何を見る | つまずきやすい点 |
|---|---|---|---|
| 1 | 空気の入口を作る | 給気口の位置、窓の開閉可否 | そもそも給気口の存在を知らない |
| 2 | 空気の通り道を確保する | 間仕切り、書庫、什器の配置 | 入口だけ作って出口がない |
| 3 | 排気口をふさがない | 段ボール、カーテン、掲示物 | 荷物置き場になっている |
| 4 | CO2濃度を確認する | 測定器、在室人数 | 1か所だけ測って全体を判断する |
| 5 | 空調と換気を両立する | 空調の機種、外気導入の有無 | エアコンで換気できていると思い込む |
1. まず設備図とスイッチを確認する
賃貸オフィスやテナント店舗では、換気設備は建物側の設備です。自社で判断せず、建物管理者・オーナー・管理会社へ次を確認してください。
- 給気口・排気口の位置と系統(どの部屋がどこへつながっているか)
- 機械換気・24時間換気の有無と、いま稼働しているか
- 換気扇のスイッチがどこにあり、誰が入切しているか
- 空調が外気を取り入れる機種かどうか
- フィルターの清掃・交換を誰がいつ行っているか
換気扇のスイッチが「うるさいから」と切られたまま何年も経っている職場は珍しくありません。買い物より先に、止まっているものを動かすほうが効きます。
2. 吸気口・排気口をふさがない
換気設備が動いていても、口がふさがっていれば空気は流れません。窓が少ない職場ほど、この一手で変わります。
- 書庫、段ボール、什器が給気口・排気口の前に置かれていないか
- 掲示物やカーテンが吹出口をふさいでいないか
- フィルターが目詰まりしていないか、外れたままになっていないか
- 天井の換気口が、増設した間仕切りで別室側に取り残されていないか
とくに倉庫や店舗のバックヤードは、排気口の前が荷物置き場になりやすい場所です。床にテープで区画を引き、物を置かない範囲を目に見える形で決めてください。
3. 空気の入口と出口を決める
換気は「入って、通って、出る」で成立します。窓を1か所だけ開けても空気は入れ替わりません。対角線上の2か所を開ける、扉を開けて通り道を作る、といった形で入口と出口を決めます。
窓が1か所しかない、または開かない場合は、送風機で空気を動かします。このとき風を人に当てるのではなく、部屋の空気を出口へ押し出す向きに置くのが要点です。人に当てると涼しく感じるだけで、空気は入れ替わりません。
- 送風機を使うときに確認する:火気、騒音、防犯(開放したままにできるか)、花粉や粉じんの流入、温熱環境への影響
- 店舗では、風がのれんやメニュー、商品を動かさない位置を選ぶ
- 冬季は、外気が直接人に当たらない高さと向きにする
4. 在室人数と時間を調整する
換気量は建物側で決まっていることが多く、すぐには増やせません。設備を変えられないなら、入れる人と時間のほうを調整します。
- 会議室の定員を、席数ではなく換気の実態から決め直す
- 長時間の会議を分割し、間に扉を開ける時間を挟む
- 休憩室の利用時間をずらし、同時に入る人数を減らす
- 更衣室のように短時間に人が集中する場所は、時間をずらす
会議室と休憩室は、面積あたりの人数が最も多くなる場所です。フロア全体の換気が足りていても、この2部屋だけ条件が悪いことがよくあります。
5. CO2濃度を目安にする
二酸化炭素濃度は、換気が足りているかを考える手がかりになります。人が呼吸で出すため、換気が不足すると濃度が上がるためです。建築物衛生法の対象となる特定建築物では、空気環境の管理基準として二酸化炭素の含有率が1,000ppm以下と定められています。対象外の事務所でも、判断の目安として使えます。
ただしCO2濃度は感染リスクを直接判定するものではありません。「濃度が低いから安全」とは言えず、換気の状態を推し量る補助として扱ってください。測るときは次を確認します。
- 測定位置:人の呼気が直接かかる場所、窓や給気口の真横は避ける
- 在室人数:同じ部屋でも人数で大きく変わる。人数を併せて記録する
- 機器の方式:NDIR(非分散赤外線)方式かどうか。簡易な代替センサーの製品は数値がずれやすい
- 校正:定期的な校正やリセットの手順が用意されているか
数値を見たあとの行動を、あらかじめ決めて掲示してください。「◯◯ppmを超えたら扉を開ける」まで決めて、初めて測る意味が出ます。
空気清浄機は換気の代わりになりません
空気清浄機は、空気中を漂う粒子をフィルターで捕らえる機器です。二酸化炭素を屋外へ出す機能はありません。そのため、空気清浄機を置いても換気の代わりにはならず、CO2濃度も下がりません。
換気を確保したうえで、粒子を減らす補助として使うのが正しい位置づけです。役割を取り違えると、「対策済み」と思ったまま換気不足が続きます。
導入する場合の選び方、換気との違い、現場別に効く場面・効かない場面は「法人向け空気清浄機は必要?換気との違いと選び方」にまとめています。
窓が少ない職場で使う機器3選
設備を確認し、ふさがっている口を空けたうえで、それでも足りない場合に使う機器です。買う前に、上の1〜3を先に済ませてください。
オフィス・店舗の気流:アイリスオーヤマ サーキュレーター(DCモーター・28畳)

上下左右の自動首振りと8段階の風量調整ができるDCモーター機です。風量を絞れば静かに運転できるため、来客や電話のあるオフィス・店舗でも使いやすく、空気の通り道を作る用途に向きます。まず1台置いて効き方を見る段階の第一候補にしました。
- 良い点:風量を細かく絞れるので、人に風を当てずに空気だけを動かせる
- 注意点:あくまで室内の空気を動かす機器で、これ自体は外気を入れない
- 会社運用:出口(排気口や開けた扉)へ向けて置き、人に直接当てない向きを決めて共有する
※この楽天の出品はモデルが複数あり、販売店も「型番が異なる商品が届く場合がある」と案内しています。購入前に届く型番と仕様をご確認ください。同一の型番を特定できないため、この項目はAmazonリンクを掲載していません。
倉庫・バックヤードの気流:ナカトミ 壁掛け工場扇 45cm OPF-45WG

壁に取り付ける45cmの工場扇です。床面積を取らず、荷物や台車の動線を邪魔しません。倉庫や店舗のバックヤードのように床が常にふさがっている場所で、排気口へ向けて空気を押し出す用途に向いています。
- 良い点:床置きと違い、什器や荷物の配置に左右されず定位置で使える
- 注意点:取り付けには壁の強度確認と工事が必要。賃貸では管理会社の許可を先に取る
- 会社運用:設置前に、風向きが商品・掲示物・火気に影響しないかを確認する
Amazonで同じナカトミ OPF-45WGを確認する
※楽天と同一型番です(確認時点で楽天7,920円・Amazon8,800円)。
換気の確認:TOAMIT 東亜産業 CO2マネージャー TOA-CO2MG-001

NDIR方式の卓上型CO2測定器です。温度・湿度も同時に表示し、設定した濃度でアラートを出せます。会議室や休憩室のように人が集中する部屋に置き、「何ppmで扉を開けるか」の運用を作るために使います。
- 良い点:NDIR方式で、簡易センサーの製品より数値が安定しやすい
- 注意点:測定値は換気を考える補助であり、これだけで感染の安全・危険を判定しない
- 会社運用:部屋ごとに置き、そのとき何人いたかを一緒に記録する
Amazonで同じTOAMIT CO2マネージャー TOA-CO2MG-001を確認する
※楽天と同一型番です(確認時点で楽天5,600円・Amazon5,890円)。
換気チェックリスト
- 建物管理者に給気口・排気口・機械換気の仕様を確認した
- 換気扇のスイッチの場所と、いま入っているかを確認した
- 吸排気口の前に物が置かれていないか点検した
- フィルターの清掃・交換の担当と頻度を確認した
- 空気の入口と出口を決めた
- 会議室・休憩室の同時利用人数を決めた
- CO2の測定位置と、数値に応じた行動を決めて掲示した
- 空気清浄機を換気の代わりにしていない
- 空調が外気を取り入れる機種かを確認した
よくある質問
エアコンを回していれば換気できていますか?
できていないことが多いです。一般的なルームエアコンやパッケージエアコンは室内の空気を循環させるだけで、外気を取り入れない機種があります。外気導入の有無は機種によるため、建物管理者か機種の仕様で確認してください。
窓が開かないオフィスはどうすればよいですか?
建物の機械換気が前提の造りになっているはずです。まず管理会社へ換気設備の稼働状況とフィルターの管理状況を確認してください。そのうえで、吸排気口をふさがない、在室人数と時間を調整する、CO2で状態を見る、の3つで運用します。窓が開かないこと自体は異常ではありません。
サーキュレーターを置けば換気になりますか?
なりません。サーキュレーターは室内の空気を動かす機器で、外気と入れ替える機能はありません。給気口や開けた窓から入った空気を出口まで運ぶ「通り道づくり」に使うものです。入口と出口がない状態で回しても、同じ空気をかき混ぜているだけになります。
会社全体の感染症対策も確認する
この記事の換気に加えて、体調不良時の報告、欠勤・復帰、手洗い、清掃、必要な備品まで会社全体で整える場合は、法人向け感染症対策をご確認ください。 また、花粉や粉じんまで含めて空気環境を整える場合は、会社の花粉・空気環境対策もご利用ください。
関連ページ
- オフィスの湿度管理|加湿器を置く前に確認すること
- 法人向け加湿器の選び方|オフィス・工場・店舗別
- 法人向け感染症対策
- 会社の花粉・空気環境対策
- 会社で用意する感染症対策備品一覧|優先順位つき
- 職場の安全対策に必要な備品一覧
商品仕様、在庫、価格は変更される場合があります。購入・設置前に販売ページ、メーカーの取扱説明書、建物管理者の指示、自社の設備ルールをご確認ください。法令の記載は建築物における衛生的環境の確保に関する法律に基づきます。最終更新:2026年8月29日


